■ 地域との連携
「地域や産業界と連携した体験的学習」を推進するために,「インターンシップ(2年生)」,「商店街HP作成(3年情報処理科)」
「笠SHP(3年課題研究)」,「養護学校・保育園・老人ホームとの交流(3年家庭科)」,「地域特産品の販売(文化祭)」などの
取り組みを続けている。生徒はこれらの活動により,「将来のスペシャリストとしての資質」を高めていく貴重な体験をすることができ
ている。また,進路意識を高め,日々の学習を振り返って学習意欲を高めることにもつながっている。さらに,地域社会の人に教えてい
ただくことを通して,「新しい人間関係を作りだす力」も得ることができているのではないだろうか。
「学校から地域への貢献」を目的に,「親子ふれあい教室(小学生対象)」,「トップアスリート派遣事業」を新たに実施し,「体育
祭前の清掃奉仕活動」にも継続して取り組んでいる。「地域に認められる学校」であるために,これらの活動を継続・発展させていくこ
とを考えている。
1. 「インターンシップ(2年)」 …地元の企業・公共施設での職場体験
2年生の「総合的な学習の時間」(ゆうかりタイム)を有効に活用し,また,生徒に将来的な展望を早目に持たせるために,2年生
全員に「インターンシップ」か「スクールインターンシップ」を体験させている。
(1) 目的
・働くことや創造することの喜びを体得するとともに,社会生活・職業生活を営む上でのマナーや心構えを理解し,社会環境に
適応できる職業人になることを目指す。
・将来の進路への関心と自覚を促し,進路意識の高揚を図るとともに主体的な選択と決定能力を養う。
・地域との交流や産業に直接触れることにより,地元産業についての知識・理解を深めるとともに,地域文化の後継者としての
関心と自覚を促す。
(2) 取り組み日程(インターンシップ,スクールインターンシップ,インターンシップ発表会)
(3) インターンシップ先(H21年度) ※( )内の数は参加生徒数で,合計43人
汲rMC・ウェル薬局(2),ファミーズ・フクヤ大井店(3),マックスバリュ西日本滑}岡店(2),笠岡市立神島保育所(2),
特別養護老人ホーム・三愛園(1),まや保育園(5),笠岡グランドホテル(2),和光保育園(3),叶m科百貨店・コムプラザ笠岡店(5),
笠岡市市役所(4),タカヤ(1),天満屋ハッピータウン鴨方店(1),滑尓カイタックファクトリー(2),潟Pイコーポレーション(1),
マックスバリュ鴨方店(3),笠岡市立図書館(1),扶桑薬品工業渇ェ山工場(1),社会福祉法人天神会(2),葡萄浪漫館(2)
※スクールインターンシップ…115人及びインターンシップ参加者の内希望者
(4) 成果
生徒にとっては,総合的な学習の時間の目的である「自己理解」「自己決定」「コミュニケーション」「広い視野」という点に
関して大きな成果があったと言える。生徒は,自分で「考え」「決定し」「行動し」「感じ」「伝える」この一連の学習をするこ
とで,3年生での進路実現への行動に大きな影響を与えると考える。
2. 笠岡商店街HPの作成 :3年生情報処理科・プログラミングの授業で
3年生情報処理科のプログラミングの授業の中で,H19・H20年度の2年間,「笠岡商店街のホームページ作成」に取り組んだ。
生徒数人ずつでグループを作り,実際に商店を訪問して商店・商品の取材をさせていただいた。その際,時間割を移動して,午後2
時間連続での授業にした。数回の取材後は,記事と写真をHTML言語を使って編集し,それぞれの商店のページを作成した。H19
年度には商店街の方に来校していただき,できあがった商店街HPを実際に見て批評していただくことも行った。
現在,2年間で作成したページを一つにまとめて,次の場所に置いている。
3.養護学校・保育園・老人ホームとの交流 :家庭科の授業で
○西備養護学校との交流会(3年B組)
6月11日,高等部の生徒さんとネットバスケットを行い,楽しく交流することができました。最初は戸惑っていたけれど,
普通に話しかければいいんだということに気づくことができました。言葉を使わなくても感情の交流ができ,よい思い出
になりました。
○特別養護老人ホーム「三愛園」訪問(3年ACD組)
6月16・17・18日,自分たちで計画・準備したレクリエーションを,利用者の方々と一緒に楽しみました。人の温かさや思い
やりの大切さを改めて学ぶことができました。
9月23日三愛ふれあい祭(希望者)に4名が模擬店のお手伝いで参加しました。なお,これまでのボランティア活動や吹奏
楽部の演奏に対して,感謝状をいただきました。
○まや保育園との交流
7月18日,盆踊り大会ボランティアとして12名が参加しました。盆踊り大会当日だけでなく,事前の準備から後片付けまで,
いろいろなお手伝いをさせていただきました。子どもたちの可愛い姿や元気な姿が,先生たちのやりがいにつながっている
のだと思いました。
12月クリスマスカードプレゼント(三年生全員)。 飛び出すクリスマスカードを作成し,園児たちにプレゼントしました。
その他,たこ揚げ大会や雪遊びに希望者が参加して園児との交流を楽しんでいます。
参加した生徒は「多くの人と触れ合うことの楽しさを感じ,自分から何かしたいという意欲もわきました。お互いに笑顔に
なれる貴重な体験をさせていただきました。私はまた何かボランティアをしたいと思います。」という感想を書いています。
→活動を通して得られた生徒のアクティビティ
家族の小規模化が進み,異年齢の交流機会が少なくなっている中,教室で勉強するだけでなく,実際に幼児や高齢者とふれあう
ことによって,心のバリヤがなくなったり,対応の仕方が実体験できて大変有意義な活動ができた。
4.「笠SHOP」 :3年生課題研究の一チーム
3年生商業科の課題研究の一つに「笠SHOP」がある。いろいろな商品開発をして実際に販売するまでを体験するものである。特に
地域特産品の開発と販売では,生徒が非常に積極的に活動し,成果をあげている。いくつかのメディアにもとりあげていただき,それが
また生徒の意欲につながっている。
(1) 地域特産品開発
「でぇれえパン」…チョコ・クリーム・いちじくの3種のジャムを入れた菓子パンを考案。パッケージデザイン。
「みそJA〜」…地元食材を使ったJAかさやの手作りみそ。ネーミング・パッケージを担当。
「まんじゅうレンジャー」…イメージキャラクターの焼き印を入れたまんじゅう
「モナカ戦隊ぱりっとしとんじゃー」…もなかの皮にアイスクリームをはさんだもの
(2) ゆめポート(笠岡諸島アンテナショップ),いちょう祭りでの一般販売
(3)「4校☆キラリ」の活動
「4校☆キラリ」の活動は,井原・笠岡地域の笠岡工業高校・井原高校(旧精研高校)・岡山龍谷高校・本校が連携し,
工業・農業・生活・商業というそれぞれの専門分野を生かした活動を通して,社会貢献をしようと,5年前に始まった。
シュレッダーダストを原料にフラワーポットを作り,ビオラなどの花を植え付けて,「e−ポット」と名付けて商品にし
ている。それぞれの高校の文化祭や,笠岡市いちょう祭りなどの折に1鉢300円で販売している。収益金は社会福祉団体
に寄付している。この取り組みはいくつかの新聞やニュースで取り上げられ,小学生向け教育雑誌「進研ゼミ・チャレン
ジ5年生」にも紹介された。
→活動を通して得られた生徒のアクティビティ
・パッケージ・ネーミングなどで企業の方との打ち合わせ,実際に販売して一般の方に買っていただく体験を通して,
「地域の方々とのコミュニケーション」が深まった。このことがさらに「次の活動の意欲」をかき立てることになった。
(PBLラーニング)
・生徒の「起業家精神」を育てることができた。ネーミング・パッケージ・製造・販売等,取り組む分野に応じて自然に
「適材適所で組織」ができあがる。
・「まんじゅう」を実際に作って,商品に対する思い入れが深くなった。
5. 文化祭での地域特産品販売
毎年の文化祭で,2年生はクラス単位で,業者から仕入れた商品を展示・販売する「販売実習」をやっている。この4クラスの
店の他に,2年生有志による「地域特産品販売」の店を出している。
H21年度の地域特産品販売は,なす・バナナ(笠岡),ぶどう(井原),梨・乳製品(美星),アスパラガス(矢掛),
バラ(金光),大根(蒜山)であった。
6. 「親子ふれあい教室」「トップアスリート派遣事業」 …地元の小・中・高校生を対象に
「日頃お世話になっている地域の方々に,何かの形で貢献をしよう」と,H20年度から夏休み中に小学生とその親を対象に
「親子ふれあい教室」を開いている。
◇H20年度・親子ふれあい教室
日 時 平成20年8月9日(土) 9:50〜12:00
対象者 小学4年生〜6年生と保護者
定 員 各講座20組(親子40名)
教 室 @「ドライアイスであそぼう」(理科) …8組参加
A「パソコンを使ってうちわを作ろう」(商業)…8組参加
◇H21年度・親子ふれあい教室
日 時 平成21年7月下旬
対象者 小学4年生〜6年生と保護者
定 員 各講座20組(親子40名)
教 室 @7月22日(水) 「日食観察会」(理科) …18組・43名参加
A7月25日(土) 「笠商でエクササイズ」(体育) …24名参加
「家族のオリジナルうちわを作ろう」(商業)…13名参加
※昨年度に引き続いて参加していただいた方には「このような教室を開いていただき,たいへんありがたい。ぜひ来年も
開いてください」とのありがたい声をいただいた。この「親子ふれあい教室」は恒例行事として続けていきたい。
◇H21年度・「トップアスリート派遣事業」
日 時 平成21年7月27日(月)
対象者 近隣小・中・高校の女子バレーボール部員
講 師 岡山シーガルス選手
内 容 技術指導と交流
7.体育祭前の地域清掃奉仕
体育祭直前の日曜日に,応援の練習に来ている生徒を中心にして,学校周辺から隅田川にかけての清掃をしている。H17年の岡山国体を機に始まったのだが,「体育祭の応援練習で,地域の方々にご迷惑をかけている。清掃奉仕で少しでも私たちの心が伝われば」との思いから,それ以降もずっと続いているものである。