【ごとし】  は『トなァじィだ(:と同じだ)』『ようだ』と訳す〈 比 況 〉
例文) おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。 (平家物語・祇園精舎)
  おごりたかぶっている人(の栄華)も長続きはしない、(それは)まるで、春の夜の夢のよう(にはかないもの)だ
 ◎準体【ごとき】  は『など』と訳す〈 例 示 〉
例文) すなはち、和歌・管絃・往生要集ごときの沙物を入れたり。 (方丈記・方丈の庵)
  そこで、(これには)和歌・管絃に関する書物や「往生要集」などの書物を入れた。



【まほし】【たし】  は〈 希 望 〉で、『たい』『てほしい』と訳す
例文) 紫のゆかりを見て、つづきの見まほしくおぼゆれど、人かたらひなどもえせず (更級日記・物語)
  (『源氏物語』の)「若紫の巻」を見て、(その)続きが読みたいと思ったが、(自分で)人に頼むことなどもできない。

例文) 家にありたき木は、松・さくら (徒然草・一三九段)
  家に植えてあってほしい木は、松や桜(である)



ダン(=〈 断 定 〉の略)【なり】   は、『にある』『だ』『にいる』『のだ』と訳す
例文) 尾張に直に向かへる尾津の崎なる一つ松あせを。 (古事記・歌謡)
  尾張の国にまっすぐに向いている尾津の崎にある一本松よ。

例文) 月日は百代の過客して、行きかふ年もまた、旅人なり。 (奥の細道・出発まで)
  月日は永遠に旅を続ける人(のようなもの)であり、去っては来たり、来ては去ってゆく年もまた旅人(のようなもの)である


種類
未然形
連用形
終止形
連体形

已然形

命令形
活用型
接  続
比況 ごとし ごとく ごとく ごとし ごとき
ク型
連体形 
{「連体形+が」「体言+の」「副詞(かく)+の」}
ごとくなり ごとくなら ごとくなり ごとくなり ごとくなる ごとくなれ ごとくなれ
ナリ型
ごとくに

種類 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用型 接  続
希望 まほし まほしく まほしく(まほしう) まほし まほしき まほしけれ シク型 未然形
まほしから まほしかり まほしかる

種類
未然形
連用形
終止形
連体形

已然形

命令形
活用型
接  続
希望 たし たく たく(たう) たし たき たけれ ク型 連用形
たから たかり たかる

種類
未然形
連用形
終止形
連体形

已然形

命令形
活用型
接  続
断定
なり
なら
なり
なり
なる
なれ
なれ
ナリ型
体言・連体形 {副詞「しか・かく・さ」
助詞「のみ・ばかり」に付く}(和文に多)
たり
たら
たり
たり
たる
たれ
たれ
タリ型
体言(和漢混交文に多)
(全編再生)  『花』滝廉太郎